ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「うん。このゲームには、恋愛モードと格闘ゲームがあるんだって。しかもオンラインらしいよ」
「……。弥生ちゃん、君はその格闘モードには入ったの?」
弥生は、腕を掻きながら答えた。
「入ったはずだけれど、それらしいものはまだやってません」
すると玲くんは、すっと目を細めた。
「オンライン……
これ、GPS機能つき?」
「確か由香りんがそんなこと言ってた気が」
玲君は腕を組んで考え込んでいる。
「芹霞、桐夏は女子生徒が欠席多いんだよね。彼女達、どうしてるか確認とってみたことはある?」
「え? サボりに確認なんて野暮でしょ」
「じゃあさ、欠席していた女の子達にメール打ってみて。内容は、」
"櫂の携番、私が教えてあげる。希望者は即レス頂戴"
「はあ!?」
玲くんは何を言っているのか。
「責任は僕が取るから」
「そんな問題じゃなく!!」
「いいから!!」
有無を言わせぬ鳶色の瞳。
やはり――
櫂と同じ血を持つだけある。
彼もまた、王者のオーラを纏う。
威圧的な瞳の力に、抗えない。
あたしは渋々、自分の携帯を開く。
学校の友達は、グループに分けてアドレス帳に登録しているから、一括送信は出来る。
櫂、ごめんね。
あたし、玲くんの迫力に勝てない。
玲くんにも考えあるようだし?
きっと玲くんが何とかしてくれるから。
あたしは大きな溜息をついて、
玲くんの指示に従った。