ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


すると道化師は、バツが悪そうな顔を少し俯かせて、金色の頭をがしがし掻いた。


「お前潔いからよー、………。……仮に。万が一。仮定の大前提で。

もう少し時間が経てばあの場は自然に……」


「?」


「い、いや。なんつーか、まあ俺にもほんの少しは人並みの良心あるってわけで……」


何だろう。歯切れが悪い。


「何だかよく判らないけど、今のことでもさ。あんたが言ってくれなきゃ、あたし煌を一生恨んでいたかもしれないし。

だから……ありがとう?」


「なんで疑問系だ」


男が不服そうな顔をした。



「感謝……してる?」


「だから何故!」


「お礼と言っちゃなんだけど……」



あたしは部屋を見渡した。



「部屋を片付けるからッ!!」


「あ?」


「勿論、あんたも手伝うのよ」


「はあ!?」


「あんたは寝ないかも知れないけどね、あたしは寝るの。寝て育つ成長期の生き物なの!! 凄く今、眠たいの」


「じゃおとなしく寝てろッ!!」


腕時計が示すは…真夜中午前3時。


「無理。本当に無理。とりあえずどっかでゴミ袋と紐と洗剤と雑巾、いわゆる一般的なお掃除グッズを買ってきて。

あ、判ってると思うけど、あたし財布ないから、自腹ね」


「お前~~ッ!!」


「だってこの部屋、あたしの嫌いな"あいつら"が居心地よさそうなんだもの。もし! 気紛れ起こしてひょっこり出てら、あたし、」



ガサッ。



不穏な…音がした。

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