ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
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「櫂。お前…何で今日休んだんだっけ?」


くるくる、くるくる…。


「お前が僕に…言ったこと覚えてる?」


くるくる、くるくる…。


玲くんは、櫂の上衣を剥ぎ取り…実に手際よく包帯を巻き直している。


さすがだ。

玲くんは何につけても多彩で器用なんだ。


だからこの家の家事全般を任されている。


初めてだろうと何でもこなすのが玲くんで、玲くんのおかげで櫂は栄養失調にも陥らずに健やかでいられる。


だけど今の櫂は怪我人で、それは玲くんの力の及ぶ範囲ではないだろうけれど。


櫂の身体がどんな状態になっているのか見ようと、あたしも"手当現場"を覗き込もうとしたけれど、櫂も玲くんも何故か見せてくれないんだ。


あたしの動きに合わせて、死角の位置にわざと移動する。


さすがは血の通い合った従兄弟同士。

言葉も出さずに、息がぴったり。


そして包帯で身体が隠れていった途端、見せてくれた。


別に、玲くんの手当が見たいわけではないんだけれど…。


「"悪化させる程俺は馬鹿じゃない、見損なうな"。誰が…僕に、そんな偉そうなこと言ったんだっけ?」


「………」


「ん?」


にっこり。


櫂の顔が引き攣った。


「よかったね、僕の言うこときいて今日休んでいて。じゃなかったらきっとお前、動けない程酷い目にあってたよ? 芹霞が頭突きしなくても、さ」


「つーかさ、櫂が"言うこときいて"…というより、玲が無理矢理、櫂に麻酔注射ぶっ刺して問答無用で寝かしつけていたんじゃ…」


ダンッッ!!



「ぬををを!!?」


煌が突如後ろに跳ねた。

流石は本能の野生ワンコ。


「玲、お前何するよ!!?」


今まで包帯を切っていた鋏が、今まで煌が居た場所に…突き刺さっている。


深く。


「ん? 何か言った、煌?」


にっこり。


時々玲くんは、怖くなるけれど、あたしには優しいからそれでいいや。
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