ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「緋狭姉~~ッッツ!! やめろ、やめろ、やめてくれ~ッッ!!! これ以上は俺無理~ッッッ!!! 俺泣いちまう~ッッ!!!」
「黙れ、酔っ払いの馬鹿犬」
緋狭様の一喝で黙った。
まるで蛇に睨まれた蛙だ。
櫂様はそれを見ると薄く笑い、静かに言った。
「煌。芹霞は――
声が出なくなった。
あの熱も、恐らくは何かの瘴気にあてられたものだ」
「声が出ない!!!?」
「本当か、櫂!!?」
煌に続いて玲様も声を上げ、無論私も…驚いて櫂様を見る。
芹霞さんが目覚めるまで、皆でずっとついていたのに…気づいたのは櫂様だけ。
いや、それよりも…
――瘴気にあてられたものだ。
瘴気!!!?
櫂様は、強張った顔で緋狭様を見る。
「俺は…その正体が掴めません。
制裁者(アリス)ではないのでしょうが。
正直――
玲の結界をすり抜けて攻撃出来る瘴気というものに、俺は出会ったことがないので。
俺の気も彼女に通らない。弾かれてしまっている」
櫂様が…弾かれる程の瘴気…。
「――緋狭さん」
玲様が緋狭様を見て言った。
「僕はあの屋敷で何か邪悪な気配を感じました。それと緋狭さんが言っていた、」
――横槍が入った。
――御階堂やアオなど、まだ可愛いものよ。
「2つは、同じものなんですね?」
私も感じたあの気配は。
「もしかして俺がぶっ倒れたのも、それが原因!?」
馬鹿蜜柑も顔を硬化させた。
そして、皆の視線を受けた緋狭さんは――
「そうか。そこまで感付いているのなら、私の介入は此処までだな」
そう言ったんだ。
解答を…ぼかして。