ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
それが俺にとっての"負担"だと認められるようになったのは、俺に"感情"というものが芽生えたからかもしれねえ。
――如月煌と名付けよう。
折角緋狭姉が、"BR002"以外の名前を俺につけてくれたのだから、俺は新たに前を向いていこうって決めたんだ。
正直、そうは決めていても、身体や記憶に刻まれた痛い過去は消えてなかったみたいで、櫂や玲に初めて会った時、俺は昔の自分を晒しちまった気がする。
その頃の櫂は、幼いながらも次期当主としての凛とした威圧感は半端じゃなくて。
玲は玲でまだあどけなさ残る顔に、仮面のような薄気味悪い微笑み浮かべ、根っこの"S"を隠して櫂の傍に居たけれど。
俺を見た時に、2人は――
何とも言えねえくらい…
哀しそうな顔をしたんだ。
憐憫という奴かと思わず櫂に憤った時、動く玲を片手で制した櫂は、目を瞑って黙って俺に殴られた。
逆上した俺が、尚も櫂に噛みつこうとした時、
――すまなかった。
櫂が俺に対して…
頭を下げたんだ。