ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
 

「玲。芹霞は何処に関係すると思う?」


櫂が真摯な顔をして訊いてきた。


「え?」


「緋狭さんと氷皇の賭けは、御子神祭開催直前。わざわざそう区切ったのは、祭りに芹霞が関係するのだと言いたかったんじゃないか?」


「………」


「御階堂が血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)だの呪詛だのに暗躍していたのだとしたら、あれだけの仕掛けが簡単に終わるのだとは信じられん。まだ何か、手札を隠し持っている」


「………」


「陽斗の言う"あいつ"……。

俺は、恐らく"彼女"だと思っている」


僕は薄く笑った。



「奇遇だね、櫂。

僕も同じことを考えていたよ」


血の成せる業なのだろうか。


「やはり、か。


そして"彼女"は……」


僕は苦笑した。



「氷皇の真の雇い主。

……恐らく、だけどね」



櫂が溜息をついて頷いたその時――。


ドアの外で、騒がしい声がしたんだ。



僕達は、訝った目をそちらに向けた。



どうしたんだ?


< 507 / 974 >

この作品をシェア

pagetop