ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


ざわめく人の声。

複数の声が重なって、静かなる家の中に響き渡る。


「「何が起きているんだ?」」


僕達は顔を見合わせて立ち上がり、その声の元に赴いた。


桜も煌も…そして陽斗も居て。

敵の来襲だとも考え難いけれど。


怒鳴り声ともまた違う…

焦ったような声にも思えて。


非常事態でも起きたのだろうか。


声はキッチンからだった。


暗がりに…落ち着きのない声が大きく聞こえてくる。



動く人影。


ガラガラガラーン。


何かが床に落下する音。



「何?」


電気をつけた僕は――



「!!!」



言葉を失った。


床の上に座り込んでいる4つの影。


煌が後ろから両手で芹霞を抱きしめていて。

その芹霞は陽斗を抱きしめようとしていて。


桜は頬に手を当て、茫然自失といった表情で座り込んでいる。



「一体、どういうことだ、煌?」



僕は思った以上の低い声で煌に訊いた。

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