ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


しかも――


「な、芹霞!?」


芹霞が今度は櫂の首に手を回し、

その頬に口をつけていた。


ちゅっ。


濡れたリップ音。


ちゅっ。


更にその音は重なって、


ちゅう~っっ。


長く長く続いた。



静まり返った空間。

櫂さえも固まっている。



一体――

何が起こったんだろう。



芹霞は笑っていて。

本当に嬉しそうに笑っていて。


上気したその顔は、

紅潮したその顔は、

本当に色っぽく艶めいて。


そんな顔で櫂と抱き合う姿なんて、僕は見たくなくて。


櫂と芹霞を引きはがすことが出来ない僕は、

顔を背けて耐えるしか出来ない。


いつものように、我慢するしか出来なくて。

考えないようにするしか、取る術はなくて。


――カラン。


僕は虚ろな目で、響いたその音を追う。


芹霞が何かを蹴飛ばしてしまったらしい。


それはころころと転がり、僕の前で止まる。



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