ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



「ああッッ!!?」


煌が立ち上がった。



「そして紫堂が倒れたら。

東京の五芒星は完成し…

東京は破壊される」


淡々とした声だった。



「芹霞の意義は?」


「鍵だって言ってた」


「鍵?」


「意味は判らないけど、東京破壊には必須だとか」



芹霞の声が奪われたのも、関係があるのだろうか。



ならば――


一刻も早く芹霞の声を戻さねばならない。



「……櫂」


玲が慌てた声を出した。



「ああ。策を練らないとな」



俺は、至って落ち着いた微笑みを向けた。



「何て顔してるんだよ、皆。

完璧に切り抜けるのが俺の信条だろうが」



すると陽斗は溜息をついた。



「お前、何様だよ……」

「だから、櫂様ですわ」


桜が威張ったように言うと、



「………はぁっ…」



陽斗は首を短く振りながら…再度溜息をついた。





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