ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
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車は銀座から日比谷に抜けた。


明治神宮の在る代々木に行き着く前に、車が停まる。


促されて降り立った先は、セレブ御用達"ロイヤルホテル"。


「剣舞が始まるのは3時。それまで紫堂はここに待機しているだろう。おいおい、警戒するなよ。このホテルは紫堂系列なんだし」


先輩は本当に穏やかに笑うようになった。


一方的で攻撃的な翳りはなく、安心したような満足したような、いうなれば充足感に満ちた表情で。


ロイヤルホテルは華やかさの象徴。


薄暗い照明の建物内、ロビーには多くの人達がいた。


――カメラマン?


大きなテレビカメラを見た気がしたが、こんな豪奢なホテルに泊まるくらいの人達に、カメラの1つや2つ向けられてもおかしくないだろう。


今日何か撮影があるのかもしれない。



「なあー」


陽斗があたしの服を掴んだ。

先輩は支配人と何かを話している。


「行かねえ方がいい気がする」


ぼそり、と低く呟いた。


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