ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



「あのよー、先に聞いておきてえんだけど、どうすれば"GAME CLEAR"になるんだろう。数?」


煌が首を捻って聞いてきた。


「数なら、桜は負けませんわ」


いつの間にやら手には裂岩糸。


「時期……だろうね。恐らくは、今まで待っていたということは、この時でなければいけない理由があるはずだ」


俺は玲の意見に賛同する。


「"太陽が火の獅子宮に入った時期の収穫祭"。そして更に今日、もう少しで日蝕が起きる」


「なあ、櫂。"太陽が~"って何だよ」


「ああ、これは黒の書の一説だ。その時期に儀式を行えば、眠れる者を呼び覚ますことが出来ると」


「眠れる者?」


「詳しくは知らん。ただ、藤姫サイドには黒の書がある。俺が元老院にこの一説を言った時、否定の言葉は飛ばなかった。

確実に黒の書は、今回の件に関係している」



「……櫂様」


突然桜が険しい顔を見せた。


気配がする。

途轍もなく邪悪な気配が。

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