ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


花火のように赤い光が四方八方に飛び散り、空全体を覆い込む。


光の発生源を辿れば、後方に佇んでいた緋狭さんだった。


空に向けた片手から、赤い光が放たれている。


俺の全身がびりびりと震え、そのまま消えて無くなってしまいそうな程の巨大エネルギー。


次元が違う。


畏怖と同時に感じたのは――

憧憬と恍惚感。


今ここで心に抱くには、あまりに不謹慎な私的な情で。


だからだろうか。


感動で、胸の重圧感が薄れているのか?


否――

緋狭さんだ。


この赤い光はもしかしたら――


「坊。私が一時、呪詛を食い止める。私の力が尽きぬ間に、玲と芹霞を助け出せ。私の力が尽き玲が倒れた時、呪詛は全て坊に向く!」


ああ、やはり。



この赤い光は――


緋狭さんの結界なのか。

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