ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
『あははははははは!! 馬鹿な小娘!!! お前が死んでも東京が滅ぶ運命は変わらぬわ。私が手を下さずとも、紫堂櫂は己の呪詛力をも取り込み、渦巻く闇の力を増大させた。全ては愚かなる小娘のおかげだ、あははははッッ!!!!』
玲様は泣いていた。
煌も泣いていた。
そして多分――
私も泣いている。
「定められていると思っているものを、"運命"だと…全て諦める前に、精一杯…もがいてみろと、昔…芹霞に言われたことがあります。
それが芹霞の主義なら、それを教えたのは貴方でしょう、緋狭さん。
貴方だって僕達と同じ思いのはず。
思い切りもがきましょう。
芹霞の死を…
定められた"運命"とさせない為に」
私達の代弁者である玲様は、
そう緋狭様の手を取った。
私達は暫し見つめあった。
静かな…静かな、決意の確認。
そして――。
「ああ――そうだな。
早く……行くぞ。
手遅れにならぬうちに」
そう促し、笑った緋狭様も――
……泣いていた。
芹霞さん…。
届いていますか?
私達は…諦めません。
貴方を…闇には逝かせない。
絶対に。