ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



15分。


彼女にそう言われた。


2人の力で15分。


それは俺がこの場の闇の力を抑えきれずにいたら、だそうだ。


俺が制御すればするほど、その時間が延びる。


だから俺は――

闇の力の統制に心を砕く。


俺の存在の全てをかけて。

俺の命の全てをかけて。


東京全体を覆う…

この闇の力を俺が統制する。


不思議と怖くない。


あんなに戦慄していた闇は、

芹霞を失う恐怖に比べれば可愛いものだった。



芹霞が助かるかも知れない。


否。


芹霞を助けるんだ。



希望だけが、俺を突き動かす。


これから先の具体的な方法は判らない。


だけど今。


紅皇と氷皇の力で芹霞は生きている。


まだ…闇に沈んでいないんだ。





やがて――



場は…

俺の心と共に、静謐さを取り戻した。




< 952 / 974 >

この作品をシェア

pagetop