ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
15分。
彼女にそう言われた。
2人の力で15分。
それは俺がこの場の闇の力を抑えきれずにいたら、だそうだ。
俺が制御すればするほど、その時間が延びる。
だから俺は――
闇の力の統制に心を砕く。
俺の存在の全てをかけて。
俺の命の全てをかけて。
東京全体を覆う…
この闇の力を俺が統制する。
不思議と怖くない。
あんなに戦慄していた闇は、
芹霞を失う恐怖に比べれば可愛いものだった。
芹霞が助かるかも知れない。
否。
芹霞を助けるんだ。
希望だけが、俺を突き動かす。
これから先の具体的な方法は判らない。
だけど今。
紅皇と氷皇の力で芹霞は生きている。
まだ…闇に沈んでいないんだ。
やがて――
場は…
俺の心と共に、静謐さを取り戻した。