ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
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俺の力が膨張している。


闇の力が蠢くにつれ、

俺の体内に力が涌き起こる。


闇――。


俺だけしか操れない属性なのだと、昔緋狭さんは俺に言った。


芹霞の身体の一部となっていた血染め石は、今俺の手の中に有り、2つに割れていた。


1つは緋狭さんに渡し、1つは俺が握りしめる。


景色を見れば辺り一面荒野と成り果て、かつての背の高い建造物さえも、今は視界を遮らない。


俺、か。


力を戻した俺が――

この地を破壊していたのか。


そして制御出来ない血染め石は2つに割れてしまったのか。


もう、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)の姿はない。


役目を終えた為か、

それとも俺が吹き飛ばしてしまった為か。


まだ別の理由があるのか。


緋狭さんは、紅皇の力で…俺の暴走を止めてくれていたらしい。


更に驚くべきことは、

氷皇がそれに協力していたこと。


8年前。


紅皇と親父が繋ぎ止めた芹霞の命は、今、紅皇と氷皇の力にかかっている。


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