愛羅武勇
「うん…。さようなら!」

「あ!」

翔くんが思いついたように声を出した。

何だろ。

「名前!聞いてなかったよね。」

名前か。なーんだ名前か、って!

あの、翔くんがあたしの名前を聞いているのか!?

早く、答えねば!

「結奈です。櫻田結奈。桜花学園に行ってて、歳は16です。」

「結奈、ね!可愛い名前じゃん。そ、じゃね・結奈!」

翔くんはあたしの名前を呼んで人混みの中に消えてった。

電車の中で大事なことに気付いた。

何で、翔くんはあたしに声をかけてくれたんだろう、ってことに。

駄目だ、こんなときにこそ妄想が必要なのに(?)、全然分かんない。

< 6 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop