願わくばこの時が止まるよう


「行こうか。」


彼が私の肩に手を置いた。

その瞬間、私は那鶴との過去を思い出すのをピタリとやめた。


「うん。」


彼の言葉に頷き、私達はその場を後にする。

後に残ったのは、綺麗なスイセンの花と線香の煙だけ。






――7月27日。

今日は、那鶴の命日。






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