− 夏色模様 −




「でも、最後はまおが決めることだから―――」


「あぁ、俺らは何も言えないな……」


そう、あたしも桐谷も頭の中ではわかっている。


まおが前田くんを好きなのも……。

前田くんがまおを好きなのも……。


二人が日に日に惹かれあっていることも。



「優ちゃーーーん」


「んーーー、どーしたー?」


遠くからまおが声を上げた。


「タオルとー、タイマーの準備、終わったー」


「はいよーーー! じゃあー、こっち戻ってきてーーー」


練習中の部員を避けながらまおがゆっくりあたしたちの元に戻ってきた。


「お疲れ、まお」


「ん、ちゃんと準備してきたよ」


二人だから、準備とかが早く終わった。


「集合ーっっ」


桐谷が声をあげたら―――。

部員があたしたちの回りに円を描くように集まった。 もちろん、まおの隣には前田くんが立った。


一通り今日の練習メニューを桐谷が説明して――― 練習が始まった。




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