くるきら万華鏡
 舞台の下が引き出しになっていて、そこに沢山のパイプ椅子が収納されている。


 適当に引き出しの一つを、うんしょっと両手で引っ張り出した。


「多恵ちゃん…」


 驚いたような、呆れたような声が背後から聞こえ、振り返ると、有坂くんは顔を横向けて必死で笑いを堪えている。


「何?」


 ちょっとムッとして、尋ねると、


「いや、その… か弱い… ね!?」


 そう言って、耐え切れずに有坂くんはとうとう笑い出す。


「もう! だから何が可笑しいの?」


 明らかにバカにされていることに腹を立て、さらに問い詰める。


「え? だから… 多恵ちゃん、お尻プリプリさせて、一生懸命…」


 そこまで言って、有坂くんはついに大声で爆笑しだした。


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