くるきら万華鏡
 ああ、私が必死で引き出し引っ張り出している後姿が、とてもとても滑稽だったと… あなたはそう言いたいのね!?


「早くそれ、しまって。」


 言い返す言葉も見つからず、有坂くんに椅子を持ってくるよう催促する。


「あ、うん。」


 有坂くんはようやくこちらへやって来て、私が頑張って開けてあげた引き出しの中に、パイプ椅子を無造作に掘り込んだ。


「ちゃんと並べて入れなきゃ…」


 そう愚痴のようにこぼし、私は掘り込まれた椅子を、一つずつキレイに並べなおした。


「多恵ちゃん、怒ってる?」


 有坂くんが、私の顔を心配そうに覗き込んできた。


 並べ終わって、私も有坂くんを見た。


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