舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「何をお求めですか?」



「え…何をって…」


そう言いながら隣に座った怜音を見ると、にっこり微笑まれただけで終わってしまった。


ああ、そっか。


この前働いた分で、ほしいものを買えってことなのか。



「えっと…少しヴァンプの深いトウシューズが欲しいんです。ポワントの時に負担が少ないような感じがいいんですけど」



「では、こちらのタイプがお勧めです。履いてみられますか?サイズはおいくつでしょう?」



店員さんにサイズを教え、店員さんが奥にシューズを取りに行っている間、怜音はテーブルに置かれたカタログを見ながら私に話しかけた。


「シューズだけでいいのか?こういうレッスン着とかは?」


「欲しいけど、高いから」


私がそう言ったところで、店員さんが戻ってきてシューズを出してくれた。


今履いているものよりもヴァンプが深く、かっちりしていてとてもよさそうだった。


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