舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「うん。いいじゃん。じゃあ、これと、さっきのシューズお願いします」


「かしこまりました」


「じゃあ、着替えたら出てこいよ?」


「え?あ、はい」



わけがわからないまま着替えを済ませると、怜音がレジのところで大きな紙袋を肩にかけ
ていた。



「素敵な彼ですね?」



フィッティングルームを出たところで、店員さんに声をかけられた。


「彼じゃないです」と言おうと思ったけれど、店員さんはそんな私の言葉も聞こえないほど、怜音にうっとりしていたのでやめた。



「奈々、行くぞ」



「え?あ、はい!」


怜音が扉を開けて出て行こうとしたので私はあわててその背中を追った。



「ありがとうございましたぁ」


店員さんの甲高い声を背に、私は怜音に駆け寄った。

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