神隠し
―お地蔵さんにもいろんな種類があってね。子供を守る優しいお地蔵さんもいれば、自分を祀る者を傷付ける者に厳しい罰を与えるお地蔵さんもいる。

「…じゃあ、この屋敷の人達を手にかけたのは…」

―ああ、守り神ってことだ。

「じっじゃあ、少年はどうしたの? お地蔵さんに連れてかれちゃったの?」

―そうじゃないよ、おねーさん。その少年は元の居場所に戻っただけだよ。

元の居場所?

…あっ、母親が神道系の者で、少年はその血筋の最後の1人だったなら…少年は『そこ』へ連れ戻されたんだ。

この町の、守り神の手によって。

だから少年は行方不明ということになってしまったんだ…。

―ところが話は終わりじゃないんだ。

突然、明るかった少年の声が低くなった。

―守り神によって死に絶えた人間はその後、悪しきモノとなる。この屋敷の者達全て、悪しきモノへと変貌したんだ。

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