神隠し
木々が次々と流れる中、ふと木の姿が消えたかと思うと、一軒の大きく、そして古い和風の屋敷が見えた。

けれどそれもすぐに流れてしまい、仲間達は残念そうに席に戻った。

一瞬だけど見えたあの家…。何だかイヤな感じがした。

古くて大きい屋敷だったせいか、暗くて重い雰囲気があった。

見ただけで背筋が寒くなるような…そう、純粋な【恐怖】を感じた。

霊感なんてアタシには無いハズだけど、あそこはヤバイ気がする。

でも仲間達は何も感じなかったようで、明るい笑顔に戻っていた。

…これじゃあ口を出しても、周囲を白けさせるだけだ。

アタシは周囲に悟られないよう、静かにため息をついた。
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