free バタフライ
4月〇日


新しい仕事が始まって2週間が過ぎた。仕事に追われながらも、ひとつの楽しみを見つけたかのように私は圭也の姿を目で追う毎日が続いた。

スラリと伸びた長身は180センチはあるだろう。体型は細身で、本人曰く「この課へ配属になってから10キロ近く痩せた」らしいが、私から見たらその細ささえもセクシーに感じる。後ろから抱きしめたくなる。女はいつも逞しい男にセクシーを感じるわけじゃない。細い体で、自分をどんなふうに守って抱きしめてくれるのだろう―?その一生懸命な姿にセクシーを感じる。守られたいと思う。


ぼんやりと彼の背中を眺めていると、振り返って目があった彼に突然話しかけられた。
「桐下さん、新しい仕事には慣れましたか?まだわからないことの方が多い時期かもしれませんが、焦らず頑張って下さいね。
この職場の人間関係にも、肩の力を抜いてリラックスした状態の方が打ち解けやすいと思います。仕事はハードですが人間関係の良さだけは自慢できる環境ですから」


爽やかな笑顔は私にとって太陽であり、心をじんわりと潤してくれる一時の清涼剤でもあった。


でも歳を重ねる毎に笑顔の作り方が不器用になっていく私は、つい心にもないそっ
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