忘却の勇者

連行といっても手錠などの枷をかけられているわけでなく、普通に廊下を歩いている。


時折通りすがる兵士がエクターに頭を下げるが、オレオ達について言及することはない。


些か警戒心に欠ける軍人達だ。


それともエクターという少年を信頼しきっているのか否か。


監視役ということで厳つい大柄の男が思い浮かんでいたが、明るくオレオとさして歳の差がない少年で、少なからず驚いた。


この少年について探りを入れてみようか。


「なあエクター。もしかしてお前も十三騎士なのか?」


「えっ? 嗚呼、そうだけど」


コーズの問いにあっけらかんと言いきる。


なるほど。だから監視役も彼一人というわけか。


どの道、ケイの脅しが効いているので暴れたり逃げ出すことはないのだけど。


「……あんの野郎」
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