忘却の勇者

泥沼の戦いを続けても、その隙をつかれ国が消滅する恐れもある。


魔王の首を手土産に一時冷戦を持ちかけたオレオの提案は、引くに引けなくなった両陣営への助け船になったのだ。


ただ、アモール帝国は休戦条約の締結にある条件を提示した。


四聖官の身柄引き渡し。


王府もその条件に譲歩し、全ての責任を四聖官に押し付ける形で身柄を引き渡した。


引き渡し場所は二カ国の間に存在する小さな島国。


通称『和の国』と呼ばれるこの島国は、遠い昔の二カ国の戦争に巻き込まれ、戦地として甚大な被害を被っていた。


だがそれは昔の話。


今はネシオル王国の魔法技術と、アモール帝国の最新技術を積極的に取り入れた結果、今や第三勢力として中立の立場を誇示するまでの国力を得ている。


中立国である和の国で四聖官を引き渡し、中立的な立場で国際裁判にかけ罪を問う。


刑の執行も和の国で行われることに同意し、既に三名の四聖官の裁判が取り行われ判決が出た。
< 559 / 581 >

この作品をシェア

pagetop