かさの向こうに縁あり
障子が開いている部分から暖かい光が差し込む。

それだけをじっと見つめて、そんなことを考えていた。



「はい、持ってきたよ……って、大丈夫?」



暫くの間考え事をしていた為、障子を見つめたまま全てが一時停止していた。


彼の一言で我に返り、はっとして勢い良く首を縦に振った。

その所為で首が痛くなり、押さえる。



「はは!君、面白い子だね!」



目の前にいる私が痛みを押さえているのにも関わらず、藤堂平助は暫くの間大げさに笑う。


そんな彼にむっとした表情を見せるけれど、彼は目に涙を溜めているからか、分かってはくれない。


仕方ない、と思って、袴の裾を軽く引っ張った。



「あ……ごめん。これでいいかな?」



無表情に戻って謝るとその場に座り、手に持った筆と紙を手渡された。

軽くお辞儀をしてそれらを受け取る。


紙は巻物状のものだった。

どう使えばいいんだろう……



「俺が硯持ってるから、書いて」



その一言に頷き、筆を握る。


そして墨をつけた筆を見慣れない巻物状の紙の上に、力を抜きながら走らせた。




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