君はガラスの靴を置いていく




『連絡先教えるので良かったら連絡下さいね』

帰り際、悠里はみんなに連絡先を教えた。

この流れで自分だけ断るのも変だし、悠里は賢い女だから頻繁にメールや電話はしてこないだろう。



『あーまじで楽しかったなぁ。悠里ちゃんの連絡先ゲット出来たし、叶うならもう一泊遊んで帰りたいっ』

帰りの電車の中で、増田はまだ夢心地だった。


海でのナンパ失敗はもう記憶にないらしく、悠里の連絡先だけで100人の女の価値はあるとか訳が分からない事をずっと言っていた。


『まるはどうだったの?
なんか親しげに喋ってた子いたじゃん』


悠里の他に居た女子で背が低い子とまるが楽しそうに喋ってる姿を何度か目撃した。

なんとなく容姿はまるの好みだなーとは思ってたけど。


『一応、連絡は交換したよ。でもまだどんな子か分かんないし、何回か遊んでみないと分からないかな』


まるは勢いとか、その場のノリで決めたりしないからいい。アドレナリンが出まくりの増田にその精神を分けてやって欲しい。



『あー悠里ちゃん俺の彼女になってくれないかな。頑張ればいけるかな?どう思う??』


『『いや、無理でしょ』』


増田の言葉に俺とまるの声がハモった。


可哀想だけど恐らく悠里には彼氏が居る。
しかも複数。

悠里の携帯には誰かから頻繁にメールが届いていたし、あの性格から言って1人の男と付き合うなんてあり得ない。

パパと呼ばれる親父達も彼氏なのかもしれないし、そこは知らないけど増田が手に負える女じゃねーよ




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