君はガラスの靴を置いていく
そしてそれから数日が経って文化祭の日がやって来た。
普段は生徒以外は入れない校内は一般解放されて、私服を着た老若男女が学校中に溢れていた。
『つーかうちの親くるとか言ってんだけど』
『私は県外の友達呼んだ』
『お前の姉ちゃん超美人じゃね?』
中には身内も来てる人が居てみんないつもとは違うテンションになっていた。
『つーか1年の迷宮迷路めっちゃ行列出来てた!あとで行こうぜ』
増田は朝からツンツンヘアーで気合い入りまくりだし、女子達もいつになく厚化粧気味。
俺は知り合いが来なければいいな、と願うだけ。
だって記憶にない女子が来ても困るし、今はなるべく評判は下げたくない。
『ねぇ宮澤、俺ちょっとだけ抜けてきてもいい?』
恐らくまるは後輩の子のところに行くつもりだ。
『あぁ全然いいよ。暇だし』
一応午前中は宣伝のビラを配る係りになってるけど今の所プラネタリウムは不人気だ。みんなお化け屋敷とか食べ物屋に流れていく。
まぁ、俺だって文化祭でプラネタリウムはどうかと思うよ。
時間短縮で色んな所回りたいのに誰がゆっくりと星なんて見たいんだよ。