君はガラスの靴を置いていく



やっぱり昨日の事気にしてるよな………

でもここで俺が下がったら千花との距離はまた開いてしまう。


『昨日の事、先輩に言ってないんだ』

俺は上履きに履き替えながら尋ねた。


『あれは事故っていうか……私の不注意で…』

『そっちじゃなくて俺と一緒に図書館に行った事』

『!』


千花はハッとして慌てて靴を履き替えた。少し赤くなってる耳は寒さのせいなのかどうなのかは分からない。


『なんで言わないの?』

少し意地悪に聞いてみる。

もし俺も図書館に行ったと知っていれば俺が居るのに千花を置いて靴箱には行かなかっただろうし、さすがの先輩でもムッとした表情ぐらい見せたと思う。

そんな素振りをみせないって事は千花が昨日の事を言っていない証拠だ。


『……い、今は勉強忙しいみたいだし心配かけたくないから…』

『心配?普通に俺と帰りにたまたま会って調べものがある用事が同じだったから一緒に行ったって言えばよくない?』

『でも宮澤君は……』

『元カレだからね。でも今は友達なんでしょ?』

『……』


自分であぁ、俺って性格悪いなって思うよ。

でも誰だって欲しいものには手を伸ばす。どんな手段を使ってもどんな方法でも欲しいものにはどん欲になる。



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