君はガラスの靴を置いていく





いやいや、大袈裟だろ。つーか俺のせいみたいになってるし。


『とにかく明日香ん家行ってこいよ。家知ってんだろ?』


そりゃ、知ってるよ。一応付き合ってたし家にも行った事あるけど……。


『だから嫌だって。心配ならお前らが行ってこいよ』


明日香が学校来ないのはいつもの事じゃん。それに生きていけない!とかも割りと言うし。



『宮澤が行かなきゃ意味ないだろ。とりあえず様子だけ見てきて。何もなかったらそれでいいんだから』


何故か友達に説得されてる俺。

しかも唯一の味方、まるも今日はそっち側だし。


え、まじで行かなきゃいけない感じなの?
せっかく暑い中、学校に来たのに?


『担任には俺が上手く言っとくから』

まるが最後の一押しを言った。


すげー面倒だけどこれはしつこく行くまで言われるパターンだ。絶対、休み時間ごとに言ってくるだろうし。



『はぁ………、わかったよ』


俺は滞在時間5分で、教室を出る事になった。


さっき通ってきた廊下を再び逆そうして戻ると、
登校してきた千花とばったり会った。


『宮澤君おはよう、………あれ?』


昇降口に向かっていく俺を変に思ったようだ。



『事情があって今日は帰るよ、じゃぁね』


優しく言ったつもりだけど絶対顔、強張ってた。
だって今も納得してないし。


『え、え………?』


可愛い戸惑いの声が聞こえてくる。千花みたいなタイプだったら生きられない!とか面倒な事にならないのに。

俺はそのままくるりと振り向き、千花に言う。



『帰るけど、メールは出来るよ?』

そう言うと千花はまた戸惑ってた。


ってか今はして欲しい。夏祭りの返事じゃなくて普通のやつ。千花のメールはなんか癒されるから。



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