夜想曲
前奏曲
 夏の日差しを浴びながら、夏の音を聞きながら、わたしはタイムスリップする。肌で感じる温度、耳に入ってくる音で、わたしの意志とは関係なくだ。IDとパスワードが自動的に入力されるみたいに。
 奥のほうに埋もれていた記憶がよみがえってくる。それは、決して、楽しい思い出ではないのだから、思い出したくもないのだけれど。でも、そんな思い出も、客観的にみると、更に、他人事としてみると、そう悪くないのかもしれないって、思えるものだ。
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