伸ばした手
「震えてますよ」
「……っ、るさい」
俺の腕のなかから
逃げようとする彼女を、
逃さないように、少し強く抱き締める。
力で適わないと悟ったのか、
彼女は俺に体を預けてきた。
さっきよりも、密着する体。
「……いいの?」
俺が、そう呟くと、
彼女は首を傾げ、覗き込んできた。
……上目遣いは、やめなさいって。
「なにが?」
お互いの心臓の音が
聞こえるほど、密着している体。
俺の心臓が跳ね上がったのも、
きっと、彼女に知られてる。
「そんな顔したら、
離せなくなるけど。いいの?」
……あ、彼女の心臓が速くなった。