友達以上恋人未満

プロローグ

人気のない屋上に立つ、ひとりの少年。

少年はフェンスに手を掛け、グラウンドを見下ろす。
目線の先に居たのは、ひとりの少女。


その少女を見つめる少年の顔は美しく、何処か儚い。


少年は少女に向かって手を伸ばす。
届くはずがなく、その手は宙を掴むだけ。


「好きだよ……」


少年は小さな声で囁く。
そして瞳を閉じ、そっと小指にキスをした――。

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