ノイズ

「ずいぶんあの子達に肩入れしてたんですね。隼人兄さんが他人の心配をするなんて珍しいですよ」



山崎が立花の顔をチラリと見ながら言った。



「今更何を言っても遅いだろうが、あの子達を巻き込んだのは俺だからな。おまえが何と言おうと、真相だけは必ず突き止めてみせるつもりだ」



考え事をする時に眉間に皺を寄せるのは立花の昔からの癖だが、包帯を巻かれた後頭部が痛むらしく僅かに顔が歪んだ。



「まだ痛みますか？」



「犯人は俺のことがよほど憎いらしい。殴られた瞬間、意識が飛んだからな」



立花が自嘲気味に笑ってみせた。



「まさかおまえまで俺のことを朴念仁だなんて言うんじゃないだろうな？」



「朴念仁って……いったい誰に言われたんですか？」



「…同僚だよ」



立花は苦々しげにそう呟くと、キャビネットに置かれたショルダーバッグから煙草を取り出して、愛用のZippoで火を付けようとした。



「隼人兄さん。ここは禁煙ですよ」