メガネ男子は俺様王子さま
後ろで鈴を転がしたようなかわいらしい声がしました。振り向くと、そこにはJ-pureの表紙をこの一年飾っている絵里衣さんが立っていました。
「あの、挨拶が遅れました。初めてまして。私この度J-pureのモデルをやらせていただくことになりました…」
「あぁ!知ってるわ!へぇぇ、あなたなの。噂の新人って。ふぅん…意外とアレなんだ。」
「噂?あれ??」
何を言われているのかわからなくて、おうむ返しに聞き返してしまいました。全く心当たりがありません。
噂って何でしょう?
アレってどれのことでしょう??
「あら、とぼけてもダメよ!みんな言ってるわ。どういうツテを使ったのか知らないけど、カイのファンだからって無理矢理撮影についてったり、転びそうなふりして抱きついたりしたらしいじゃない!随分と姑息な手を使ってるみたいね。」
「…いえ、決してそんな訳では…」
ギッと向けられた視線が強くて、押された訳でもないのに思わず一歩下がってしまいました。すると背中に軽い衝撃を感じました。
「…あ、す、すみません。」
思わず反射的に謝ってから顔を上げて見ると、そこに立っていたのは…