メガネ男子は俺様王子さま


衝撃に震えが止まらない自分の体をきつく抱きしめてうずくまり、次第にガンガンと鐘が鳴り響き始めた頭に手をやるとヒヤリと冷たく感じました。


汗が背中にも脇の下にも流れているのに、体中が冷たくて血が凍りそうでした。




そうして震えていると頭痛だと思っていた頭に響く音が、実際に何かを激しく叩く音だと気が付きました。


ダンダンダン…、ダン!



「美羽ちゃん?いる?遅いから迎えに来たんだけど、本当に大丈夫?」



瑠奈さんの声に咄嗟に体がギュッと縮こまりました。




……他の人が怖い。




それまで、無条件にいい人だと思っていた瑠奈さんでさえ、私を心配しているのか、もしかしたら本当は鬱陶しいと思われているんじゃないかと警戒心が先立って、咽喉が張り付いてしまったかのように声を出すことができなくなりました。
さっきまで、あんなに普通に話せていたのに。
手間をかけさせて申し訳ないと思っていたのに。




ガタン!



強張る体が言うことをきかず、よろめいてドアに体当たりをしてしまいました。



「美羽ちゃん?ここにいるのよね?待ってて!今安斎さんを呼んでくる。無理しないで。動かないでいてね」



悲痛な瑠奈さんの叫び声に、申し訳ないながらも本当に心配されているのがわかって少し体の力が抜けました。
が、返事をする間もなく瑠奈さんが飛び出していくのが聞こえました。
相変わらず体はガクガクと震えていて、自分で思うように動かすことができません。


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