空色デイズ


「まずはその誤解だけ解いておくわ。困るもの、そんな風に思われちゃ」
「え、じゃあ」
「私たちと一緒に、居たいと思うなら、無意味にあみ空を動揺させるようなことは言わないで」
「……動揺したのは空ぴょんより、むしろつつぎんとことりっちのほうなんじゃない?と、思っても口にしない私でした」
「だだ漏れよお馬鹿……ふふ」


なんだか先ほどまで敵意剥き出しで睨んでいたのが馬鹿馬鹿しく思えてきて、私は苦笑混じりのため息をついた。


なんて言うのかしら、こういうの。うまく言えないけど、そうね私、明日木明日早を――――。


「あ!笑った!よかったあ……。てっきり私ことりっちに嫌われてるのかと思ったよー」



嫌いなんかじゃ、なくなったのね。




「嫌いじゃないわ。嫌いじゃないの。私、あなたみたいな馬鹿、好きよ」





ふと、思うのだ。

笑う仕草が、
流す涙が、
眉間によるシワが、
泳ぐ視線が、
佇む足が、
鼓動を刻む心臓が、
揺れる髪が、
弧を描く唇が、
伸ばす手が、
引っ込める腹部が、
色づく耳が、
艶めく声が、
沈む喉仏が、
震える爪先が、
構える腰が、
目映い情熱が、


ふと、愛しく映るのだ。




扉を開けた先にいる彼女が、私を待っていたのか、私の持っているお菓子を待っていたのかわからないが、とろける声で手を伸ばして、「おかえり」と、笑ってくれた。





信頼ある親愛なる私たちのファーストレディは、揺らぐことなくアンタなのよ。


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