君に届ける最後の手紙
俺とキミの間に
突然の出来事から三日。


俺は正直"彼女が出来た"事実に対して、何の実感も沸かずにいた。


夕食後、舎監室の前。


タッタッタッ……


「由くんゴメン!……待った?」


アイの提案で、毎日夕食後にここで会う事になったのだ。


「いや、んなことないよ。アイ……さん……ちゃん……?」


未だに何て呼んでいいのかすらわからない。


すると彼女は微妙に顔を赤らめながら言った。


「アイって呼んでけろ……じゃなくて、呼んで……」


「……じゃあアイ、俺の事も由って呼んでいいよ……」


俺も顔が熱くなる。


なんか周りの恋愛を見てると、みんな結構フランクな感じで付き合っているが、間違いなくここだけは昭和の匂いが漂っている。


男女が打ち解けるってのはこんなに難しい事だっただろうか?


軽い沈黙の間少し考えた。


が、俺の中に"女性"の参考資料はない。


唯一出て来たのはアサミだけ。


アテにならん。
< 104 / 233 >

この作品をシェア

pagetop