君に届ける最後の手紙
「あぁぁぁっ!わかんねぇっ!」


「わかんねぇって、よく考えないからでしょ?……ホラ、こうすれば……ねっ?簡単でしょ?」


「ほぉっ、なるほどね」


「じゃ、次は応用問題ね!」


勉強……俺は今まで毛嫌いしていたが、教える側が教える側であれば意外に解けるもんだ。


「お前、案外教え上手だな」


俺がそう言うとアサミは照れながら言った。


「何言ってんの。アンタ授業中寝てるから解らないだけでしょ!」


「あぁ、ナルホド。……あ、俺飯の用意してくるわ」


「え?アンタいつもやってんの?」


「あぁ、二日にいっぺんぐらいな。すぐだから待ってろ」


「じゃアタシも行く!」


二人で階段を降りると、もうすでにいい匂いがしてきていた。


「何だよ、母さんもう作ってたの?あと俺やるから待っててよ」


「そう?なんか珍しく由が勉強頑張ってると思って。ねぇ?アサミちゃん」


「はい!由ちゃん、やれば出来る子です!」


「そっ。でも昔っから野球漬けでしょ?それが少し勉強に向かってくれればねぇ」


「いいから二人共あっち行ってろよ……」


「はいはい、んじゃアサミちゃんあっち行こ」


「は〜い」


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