君に届ける最後の手紙
そんなこんなでその日の練習も終わり、帰路につくと、後から追いかけて来る音が聞こえる。


「お疲れさ〜ん!」


同じクラスのアサミだ。彼女も昔からの知り合い。まぁゲンキと同じ様なもんで、腐れ縁と言ったところだ。


「あらら、ユニフォーム泥だらけだぁ……。アンタも相変わらず野球バカだねぇ。てか、バカ?」


なんて言いながらケタケタ笑っているところを見ると、なんかイライラする。


「ほっとけ」


心から思った。


と、そこからしばらく歩くと


「……ん?」


俺の背中に何かが刺さる様な感覚を覚えた。


ゲンキだ。ゲンキの体中から殺気にも似た何かを発している。


そう……。ありきたりなパターンではあるが、ゲンキはアサミに恋心を抱いている。


危険を察知した俺は


「やべ!こんな時間だ!俺急ぐから!」


と、見え透いた猿芝居を一つ。そしてその場を去った。



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