君に届ける最後の手紙
するとそこには先客が居たようだ。


「……おばさん……」


そこには、崩れた様に座り込むおばさんの姿があった。


頬はこけ、目の下には暈が出来ている。


「由ちゃん……」


力なく俺を呼び、こちらを向く。


「私ね、あの子に沢山辛い想いさせてきた……親の勝手で離婚して、相談もなしに再婚して……」


「…………」


それに対して、経験の薄い俺は何も言う事が出来ない。


自分の事で精一杯だった。


でも、聞いてあげるだけで良かったのだろう。おばさんは更に続ける。


「あの子に、もっといい想いをさせてあげたかった……」


それを聞くと、俺はその場にいる事すらできなくなった。


折角出そうになった涙を、感情のカケラを抑えて、式場を抜け出してしまったんだ。



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