君に届ける最後の手紙
その後家に戻ると、着の身着のまま布団に潜った。


そこで不思議な気持ちに苛まれる。


家に着いて、アサミが居なくなった現実が、少し遠退いた気がしたんだ。


何故だろう……先程まで溢れかけたり、引っ込んだりしていた涙が、完全に無くなってしまった。


「俺って冷たいな……」


そんな風に考えたりもした。


でも実はそうじゃない。俺の中で少しずつ変化は起こっていたんだ。


「疲れたな。今日は寝よう。電気は……つけたままでいいか……」


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