Iの漂流戦士




正義と一馬は場所を移動した。それは殿町にある小さな公園



遊具はブランコと砂場しかないが、昼間は近所の子供達の遊び場になっている


薄暗い街灯しかないその場所で、二人はベンチに腰かけた



『………話しって…?』


先に口を開いたのは正義

それに背中を押されるように、一馬が話し出した



『前に僕が言った事、覚えていますか?』

『………?』



『僕達にもあなたにもまだ時間が必要だと言った事です』


正義の脳裏に浮かぶあの時の光景


“…………ここで全てを話しても、あなたはまだ受け入れられない。僕達にもあなたにもまだ時間が必要だと思います。”


そう正義を突き放した一馬の言葉



『……うん。覚えてるよ』


そう答えると、一馬は深く深呼吸した



『あの時、覚悟が出来ていなかったのは僕達の方だったのかもしれません』


暗闇の中で、薄暗い街灯が一馬の顔を映し出す

はっきりと見えないその表情は、決意を決めた凛々しい顔つきをしていた



『…………星野さん』


一馬はクルッと体を正義に向け、目を合わせた


--------ゴクン。

それは唾を飲むほど、強い瞳




『全てを知る覚悟は出来ていますか?』


ドクン…と大きな鼓動が鳴る


ドクン、ドクン、ドクン、ドクン………


1秒、2秒と時間が過ぎ、正義はゆっくり頷いた






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