Iの漂流戦士
【私立入沼中学校】
東和市を出た正義が次に向かった場所は一馬が通っていた中学校
車を道端に停め、入沼(いりぬま)中学の前に行くと門の前に人影が見えた
『待ってましたよ。星野さん』
それは紛れもない一馬の姿
『え、一馬くん?どうして……』
正義は状況が理解出来ず、戸惑っている様子
そんな正義を見て一馬はニコリと笑ってみせた
『僕がみんなの先導(せんどう)にならないと』
一馬はそう言って中学校の門を開けた
休日で人が居ないとはいえ、勝手に中に入っていいものじゃない
『大丈夫?怒られるんじゃない…?』
教師である正義はなかなか前に進む事が出来ない
『何かあったら僕が責任を取りますから』
相変わらず中学1年生とは思えない大人びた口調。一馬にそこまで言われたら中に入らない訳にいかない
学校の中はすぐ自転車置き場があって、いたって普通の中学校の風景
一馬はスタスタと学校の敷地内を歩き、その足はいつもより速い
正義の前を無言で歩く姿は、どこか焦っているようにも見えた
『一馬くん、無理してない?』
正義の言葉に一馬の足がピタリと止まった