Iの漂流戦士





その花火はコンビニで売っているロケット花火

近くに居た少年達が打ち上げたものだった


道路の真ん中で色々な花火に火を付けて少年達は遊んでいる

そんな姿を見たカップルの男がフンと鼻で笑ってみせた



『しょぼい遊びだな。俺らなんか今からホテルに行ってもっと楽しい事するのになぁ?』


男は少年達に聞こえるように言ったが、花火の音と騒ぎ声で聞こえていないようだ


『……ちッ』

舌打ちをした瞬間、ドーン!!!!!!!!!!!とまた大きな打ち上げ花火が上がった


一瞬、辺りが明るくなり少年達のテンションは最高潮に達していた



『超貧乏くさーい!拓哉行こ?』


女は男の手をギュッと握った

------が、何やら違和感が………



手のひらの感触と一緒にヌルッとペンキのような液体


女はそっと手のひらに目を向けると、やっぱり何かが付いている



『拓哉。何か手のひらに……』


するとドサッと重たい何かが足元に落ちた


暗い中、地面に目を向けると……

そこには肩から切り落とされた腕が



『…………ッ!!!!!!!!』



女は驚き過ぎて声も出ず、隣に居る男に教えようと肩に手を乗せるとまたまた違和感が……


男の肩幅が狭い……いや、あるはずの物がない


そう下に落ちている腕は男のものだった






< 45 / 526 >

この作品をシェア

pagetop