Iの漂流戦士
黒い制服が屋上に二つ並び、後ろから見ればここの生徒が仲良くサボっているように見える
『嬉しいよ。頼ってくれて』
高木功の言葉に少年は全く別の反応をした
『……俺には嫌みに聞こえるんだけど?』
苦笑い気味に話しを振る
高木功は迷う事なく即答で『嫌みだよ』と返した
苦笑いで言った少年とは違い高木功の顔は本気だった
それでも少年の顔はどこか穏やかで一番聞いてみたかった質問をこの流れで言ってみようと決意する
『お前……本当は俺の事どう思ってんの?』
少年の顔から少しだけ笑顔が消えた
高木功はこの質問にも即答した
『ずるいと思ってる』
即答できるという事は普段もそう思っているという事
少年は一言『そうか』と言い、
この答えが高木の本心だと受け止めた
決していい言葉じゃないのに悲しい顔をしたのは少年ではなく、それを言った高木功だった
----“ずるい人”
この言葉もその意味も理解しているのはきっと世界中でこの二人だけだろう
今にも泣き出しそうな空は高木功の気持ちそのものだった