Iの漂流戦士
『それを俺に言われても……ね。そうゆう事は功に直接言ってよ』
少年は一馬の八つ当たりを苦笑いで流した
『功さんに言えないから言ってるんです!』
大声で自分の弱さをアピールする一馬
少年は慣れているのか話しの流れを上手いように変える
『はいはい。……で?隣で掲示板を見られた感想はどうよ?』
正義は勿論、パソコンを貸してくれた少年が掲示板の管理人だなんて夢にも思ってないだろう
その掲示板を隣で見られているのだから、一馬としても何とも言えない気分だったに違いない
『貴重な体験でした。まぁ感想が露骨に顔に出てたんで思わず意地悪言っちゃいましたけど』
一馬はそう言いながら掲示板を開いた
スレッドが満スレになっているのを確認して新しいスレッドを立てる
カチカチ…とキーボードを打ちながら一馬は静かに呟く
『功さんの胸の内は全然読めないですけど、“修さん”の事は理解してたつもりだったんだけどな』
少しいじけた様子に少年改め、修(しゅう)はフッと鼻で笑う
『まさかあの人に“パソコン貸してこい”なんて言うと思いませんでしたから』
この屋上では下の様子を見ていた修には正義の行動が丸見えだった
『なんだよ?まだ根に持ってんのかよ』
殿町の街がこの間にもだんだんと暗くなってゆく
『いえ、ただ修さんが頼み事をするなんて初めてだったので……』
一馬の見ているパソコンも日暮れと共に光の明るさが増していた
『俺は待ってんだよ』
『………?』
一馬の手が止まる
修は薄暗くなっていく街を見つめこう言った
『本物を戦士が現れるのを』