「あなたのライバル派遣します!」



「どうやら上手い具合にぴったりの人材を見つけたようですよ」

「そうだな。だが、念のため彼女たちのプロフィールを洗ってくれ」

「りょーかい」

 その言葉と同時に、英の肉付きの良い指が軽快に動き出す。

その動きを、横目でチラリと見てからモニターに目を移した轟は、腕を組んで考え込んだ。

「轟さん。ターゲットの好みのタイプってどっちだと思います?」

 後ろからコーヒーカップを片手にひょいと現れた冠の質問には答えずに、別の感想を述べた。

「冠は、この二人に見覚えはないか?」

「はっ? うーん、特にはないっすねー。どうしたんすか? 轟さんの知り合いにでも似てるんすか?」

「いや、そういうわけではないんだが……」

 そこで沈黙してしまった轟を特に気にすることなく、冠はコーヒーをすすりながら自分の定位置へと移動した。

 会話のなくなった狭い空間の中には、英が叩き出すキーボードの音と鈍いモーター音のみが響き渡っていた。
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